藏本 陽
監修
藏本 陽
コンサルタント|Walton Global株式会社
米国で370万戸の住宅が不足——構造的危機とWaltonが果たす役割を徹底解説
フレディマック推計で370万戸の住宅不足が続く米国。この構造問題が生む土地投資機会と、46年の実績を持つWaltonのランドライト戦略を徹底解説します。

「家が買えない」「借りられない」——米国住宅市場で何が起きているのか

「老後の資産形成に不動産を活用したい」「日本の低金利環境から抜け出して、もっと成長力のある市場に投資したい」——そう考えたとき、多くの投資家が目を向けるのがアメリカ不動産市場です。
しかし、情報を集め始めると、ある衝撃的なデータに行き当たります。

米国の政府系住宅金融機関であるフレディマック(Freddie Mac)が2024年末に発表した推計によると、アメリカでは現在、約370万戸もの住宅が不足しているとされています。
これは単なる一時的な需給の揺れではありません。
10年以上にわたって積み上がってきた、構造的・慢性的な住宅供給不足なのです。

この「370万戸不足」という現実が、なぜ不動産投資家にとって重要な意味を持つのか。
そして、その課題にどう向き合う投資機会が生まれているのか——この記事では、米国の住宅不足の背景を丁寧に読み解きながら、北米最大規模の土地資産運用会社「Walton(ウォルトン)」のアプローチと、個人投資家が参加できる「USマイホーム・ファンド」について詳しく解説します。

フレディマック推計「370万戸不足」——なぜここまで深刻になったのか

フレディマック推計「370万戸不足」——なぜここまで深刻になったのか

フレディマックは2024年11月の調査レポートの中で、米国の住宅不足が2024年末時点で約370万戸に達していると推計しました。
この数字は「今年だけ家が足りない」という話ではなく、2008年のリーマン・ショック以降、10年以上にわたって供給が需要に追いつけなかったことで積み重なってきた「供給の赤字」です。

供給不足が続いた3つの構造的要因

  • 建設コストの高騰と用地難:人件費・資材費の上昇に加え、開発可能な土地の取得難易度が高まり、住宅メーカーが新規着工を抑制してきた。
  • 許認可・規制の複雑化:都市部を中心に、ゾーニング規制や環境アセスメントの要件が厳格化し、開発から竣工までの期間が長期化している。
  • 需要サイドの継続的拡大:ミレニアル世代(現在30〜40代)が住宅購入・賃貸の主力層となり旺盛な需要が続く中、米国の人口も2050年には約3億8,084万人に達すると国連が予測しており、需要の土台は揺るぎない。

さらに不動産調査会社Zondaのデータによれば、宅地(Lot)の供給水準を示す「Lot Supply Index」は2017年を基準値(100)とすると、2024年時点で68と大幅に下回っており、今後もさらに悪化すると予測されています。
住宅が建てられる土地そのものが足りない——これが現在の米国住宅市場の最大の問題なのです。

上場住宅メーカーのシェアが急拡大——市場の構造変化が投資機会を生む

この住宅不足の深刻化と並行して、米国住宅市場では注目すべき構造変化が起きています。
それが大手上場住宅メーカーへの市場集中です。

2001年時点では、大手上場住宅メーカーの市場シェアは全新築住宅着工数の約23%に過ぎませんでした。
それが2025年には46%にまで拡大。
つまり、現在アメリカで建てられる新築住宅の約半数が、D.R. HortonやLennar、PulteGroupといった上場大手によって供給されているのです。

「ランドライト戦略」が生み出す、まったく新しい投資の形

市場シェアを高める大手住宅メーカーが近年積極的に採用しているのが、「ランドライト(Land-Light)戦略」と呼ばれる手法です。
これは、住宅建設会社が土地を自社で所有・保有することを極力避け、外部の土地オーナーから必要なタイミングで土地を調達するというモデルです。

土地の購入・保有は多額の資本を固定化し、バランスシートに重荷をかけます。
ランドライト戦略によって住宅メーカーは資本効率を大幅に改善できます。
実際、米国最大手のD.R. Hortonの2024年度の自己資本利益率(ROE)は19.9%と、同業他社平均の10〜12%を大きく上回っています。

では、住宅メーカーが保有しなくなった土地を誰が持つのか——そこに「土地バンカー(Land Banker)」としてのWaltonの役割があります。

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Walton(ウォルトン)とは何者か——46年の実績が物語る信頼性

Walton(ウォルトン)とは何者か——46年の実績が物語る信頼性

Walton Globalは1979年に創業した、北米を中心とする土地資産運用・不動産投資の専門会社です。
創業から46年以上にわたり、開発前段階の土地(プレデベロップメント・ランド)の取得・管理・売却を一貫して手がけてきました。
その実績は数字が雄弁に語ります。

  • 運用・管理地総面積:約88,100エーカー(約357㎢)
  • 運用・管理資産総額:約45億米ドル(約6,700億円)
  • 世界の投資家への分配累計:約28.1億米ドル(約4,100億円)
  • グローバル投資家数:88,600名以上
  • 完全売却済みプロジェクト数:318件
  • 米国トップ20住宅メーカーとの取引実績:20社中13社と取引中

特に注目すべきは、米国最大手のD.R. Hortonとの継続的・深化する関係です。
2025年6月時点でD.R. Hortonとの契約総額は約8億1,200万ドル(約1,200億円)にのぼり、Waltonの全取引先のトップに位置しています。
D.R. HortonはFY2024に36.8億ドルの売上高を記録し、89,690戸の新築住宅を販売した米国ナンバーワンの住宅会社(S&P500採用銘柄、Fortune 500の120位)です。
この最大手がWaltonを最重要パートナーとして選んでいるという事実は、同社の信頼性と実行力の証左と言えるでしょう。

ランドライト戦略の「もう一方の担い手」として機能するWalton

Waltonのビジネスモデルは、住宅メーカーのランドライト戦略と完全に連動しています。
Waltonは「成長の経路(Path of Growth)上にある、開発前段階の土地」を先行取得し、住宅メーカーが必要とするタイミングで、必要な形態で土地を供給する「ジャスト・イン・タイム方式の土地供給者」として機能します。

取得候補地は、全体の5%未満しか承認されない厳格な審査プロセスを通過した物件のみです。
マクロ経済分析→成長エリアの特定→個別物件のデューデリジェンスという多段階のプロセスを経ることで、投資対象の質を維持しています。

個人投資家が参加できる「USマイホーム・ファンド」——その仕組みと特徴

これまでWaltonの土地投資は主に機関投資家や富裕層向けでしたが、日本の個人投資家でも参加できる公募不動産ファンドとして提供されているのが「USマイホーム・ファンド(GRT Land Income and Growth Fund)」です。

ファンドの基本構造

  • 運用対象:米国の住宅地開発案件(Waltonが手がける土地開発プロジェクト)
  • 運用通貨:米ドル
  • 最低投資額:300万円から
  • ファンド期間:約7年(状況に応じて1年延長の可能性)
  • 運用方針:約65%を「融資型案件(インカムゲイン狙い)」、約35%を「投資型案件(キャピタルゲイン狙い)」に配分
  • 目標分配率:年率5.5%を年2回(半年ごと)分配予定(保証ではありません)
  • 目標最終利回り:10%以上(達成を保証するものではありません)
  • 購入手数料:上限4.4%(税抜4.0%)

ファンドの裏付け資産は100%、米国の住宅開発案件です。
Waltonが46年以上かけて構築したD.R. Hortonをはじめとするトップビルダーとのネットワークを活用し、土地の取得から売却まで一貫して管理します。

インカムとキャピタル、2つの収益源

このファンドが他の不動産ファンドと異なる特徴の一つが、インカムゲインとキャピタルゲインの双方を組み合わせた収益構造です。

融資型案件(約65%)では、開発業者への土地融資から安定的な利息収入を得ます。
一方、投資型案件(約35%)では、開発が進み宅地として整備された土地を住宅メーカーに売却することで、まとまったキャピタルゲインを狙います。
つまり、毎期の安定収益と、プロジェクト完了時の上乗せリターンを組み合わせた設計になっています。

過去の実績プロジェクト例:リバー・オークス(カリフォルニア州)

2020年9月に取得し、2025年4月に全299区画の宅地造成・引き渡しを完了した「River Oaks」プロジェクトは、D.R. Hortonが住宅建設主として参画した案件です。
土地整備から宅地の段階的な引き渡しまで、計画通りに進行した好事例として公表されています。

「370万戸不足」の時代に、土地投資が持つ意味

「370万戸不足」の時代に、土地投資が持つ意味

ここまで読んでいただけた方はお気づきかと思います。
住宅が不足しているということは、住宅が建てられる土地の価値が高まるということです。
フレディマックが指摘する住宅不足の根本原因は「建設コスト」や「規制」だけでなく、「開発可能な宅地そのものの絶対的不足」にあります。

Zillowの2025年9月のデータによると、米国全体の不動産市場の総評価額は55.1兆ドル(約8,100兆円)に達し、2020年初頭から+57%(20兆ドル増)という驚異的な成長を遂げています。
住宅の絶対的不足が住宅価格を押し上げ、それが土地価値の上昇にもつながっているのです。

Waltonのランドライト戦略は、こうした市場の構造的歪みに対する合理的な解答です。
住宅メーカーが土地を自社保有したくない、でも住宅を建てるためには宅地が必要——その「隙間」に入り込み、プロフェッショナルとして土地を管理・供給することで、投資家にリターンをもたらす仕組みです。

日本の投資家にとっての意味

日本では2023年に人口が約1億2,437万人まで減少し、今後も縮小が続くと予測されています。
不動産市場の縮小が避けられない日本国内に比べ、人口増加が続く米国・成長都市圏の土地資産は、長期的な資産保全と成長の両立を実現できる可能性があります。
また米ドル建て運用であることから、円資産への過度な集中リスクを分散する手段としての機能も期待されます。

もちろん、為替変動リスク、流動性リスク、土地評価のリスクなど、投資に伴うリスクは存在します。
Walton自身も公式資料で「元本保証・利益保証はない」と明示しています。
すべてのリスクを十分に理解した上で、資産ポートフォリオの一部として検討することが重要です。

まとめ——構造問題の「受け皿」に乗る投資という発想

今回のポイントを整理しましょう。

  • フレディマックの推計では、米国の住宅不足は2024年末時点で約370万戸に達しており、10年以上継続する構造問題である。
  • 大手上場住宅メーカーの市場シェアは2001年の23%から2025年の46%に拡大し、業界集中が進んでいる。
  • 大手住宅メーカーが採用するランドライト戦略により、外部の土地バンカーへの依存度が高まっており、Waltonはその最重要パートナーとして機能している。
  • Waltonは46年の歴史を持ち、累計28.1億ドルを投資家へ分配。米国トップ20住宅メーカーの13社と取引実績を有する。
  • 「USマイホーム・ファンド」は日本の個人投資家(最低300万円〜)がこのエコシステムに参加できる公募不動産ファンドである。

「370万戸の住宅不足」は危機であると同時に、投資機会の裏返しでもあります。
問題の根本にある「宅地不足」に直接アプローチするWaltonのランドライト戦略は、米国住宅市場の構造的需要と正面から向き合う投資アプローチと言えるでしょう。

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